社会人になってはじめて「議事録をお願い」と頼まれたとき、何をどう書けばいいのか迷った経験はありませんか。会議中はメモに必死で内容を追いきれず、終わってから途方に暮れる——そんな新人あるあるは、「書き方の型」を知るだけで驚くほど負担を減らすことができます。この記事では、議事録の基本構成から書くときのコツまで、ひとつずつ丁寧に解説します。
そもそも議事録は「何のため」に書くのか

議事録を書く前に、まずその目的を理解しておくことが大切です。議事録は単なる会議の記録ではなく、「誰が・何を・いつまでに行動するか」を関係者全員が共有するためのツール です。
会議に参加できなかった人への情報共有、決定事項を後から確認するためのエビデンス、次のアクションを動かすための起点——議事録はこれらすべての役割を担っています。
「とにかく発言を全部書き残そう」とするのではなく、「この会議で何が決まり、誰が何をするのかを伝える」という目的意識を持って臨むと、何を書くべきかが自然と見えてきます。
議事録に必ず入れる5つの基本項目
どんな会議でも共通して盛り込むべき基本項目があります。まずはこの5つを押さえましょう。
最初に書くのは「会議の基本情報」です。日時・場所・参加者・会議名をまとめたヘッダー部分で、読む人がすぐに概要を把握できるようにします。
次に「議題」。その会議で話し合うテーマを箇条書きで記載します。アジェンダが事前に共有されていれば、それをそのまま転記してかまいません。
3つ目は「決定事項」。会議の中で合意に至った内容を明確に書きます。ここが議事録の核心部分です。曖昧な表現は避け、「〇〇することに決定」「〇〇案を採用」のように言い切りの形にするのが基本です。
4つ目は「次のアクション(ToDo)」。誰が・何を・いつまでにやるかを具体的に記します。担当者名と期日が入っていないアクションは実行されないことが多いので、ここは特に丁寧に確認してください。
最後に「議事録作成者」。自分の名前を書いておくことで、確認が必要なときに連絡しやすくなります。

新人がつまずきやすい「何を書くか」問題
発言を全部書こうとしない
議事録初心者がよくやる失敗が、会議中の発言を一言一句書き起こそうとすることです。その結果、内容が長大になりすぎて「結局何が決まったのか」が読み取れない議事録になってしまいます。
議事録に求められるのは 忠実な記録ではなく、「要点の整理」 です。発言の背景にある意図や結論を掴み、自分の言葉で簡潔にまとめる力が問われます。会議中は「この発言は決定につながるか?アクションが発生するか?」という視点でメモを取ると、あとで整理しやすくなります。
「議論の経緯」と「決定事項」を分けて書く
議事録の中で混同しやすいのが、議論の過程と最終的な決定事項です。たとえば、「AとBの案が出て、コスト面を考慮してAに決まった」という場合、議論の経緯として「A案・B案の比較検討が行われた」ことと、決定事項として「A案の採用が決定した」ことは分けて書くのが望ましいです。
決定に至るまでの経緯は補足として触れる程度にとどめ、 「決定事項」の欄には結論だけを端的に記載する ようにしましょう。
曖昧な表現はその場で確認する
「なるべく早く」「検討する」「前向きに進める」といった曖昧な言葉が会議中に飛び交うことはよくあります。これらをそのまま書いてしまうと、誰も動かない議事録になりかねません。
勇気がいるかもしれませんが、会議の終わりに「〇〇については、△△さんが◇月◇日までに確認するという理解でよいでしょうか」と確認する一言を入れるのが理想的です。新人であっても、議事録担当者として確認するのは当然の行動として受け入れられます。
書き方の実践テクニック
会議前に準備できることがある
よい議事録は会議が始まる前から作り始められます。アジェンダや前回の議事録が共有されている場合は必ず目を通し、会議の目的と今回の論点を事前に把握しておきましょう。
テンプレートを用意しておくのも効果的です。「日時・参加者・決定事項・アクション・次回予定」のような枠組みをあらかじめ作っておけば、会議中はそこに情報を埋めていくだけで済みます。
メモの取り方を工夫する
会議中にリアルタイムで完成形の文章を書こうとするのはかなり難しいです。まずは断片的なメモでかまわないので、キーワードと関係性を書き留めることを優先しましょう。
おすすめは、メモ用紙やノートを縦に2分割して使う方法です。左側に発言のメモ、右側に「決定」「ToDo」「確認必要」などのラベルを添えると、あとで整理する際に拾いやすくなります。
書く順番は「アクションから」でもいい
議事録を清書するとき、導入から順番に書いていこうとすると手が止まりやすいです。そんなときは 決定事項とアクション(ToDo)から先に書いてしまう のがコツです。
最も重要な箇所を固めてしまえば、議論の経緯や背景の補足は後から付け加えやすくなります。全体の骨格が見えてくると、文章の流れも整いやすくなります。
提出前の確認チェック
書き終えたら提出前に次の点を確認してください。
決定事項の担当者と期日は明記されているか、参加者の名前に誤りはないか、数字や固有名詞にミスがないか——この3点を見直すだけで、大幅にクオリティが上がります。時間があれば、上司や先輩に「これで合っていますか」と確認を依頼することも、最初のうちはためらわずに行いましょう。
議事録を書くスピードを上げるために
慣れないうちは議事録の作成に時間がかかるものです。しかし、いくつかの工夫で効率は着実に上がります。
まず、自分専用のテンプレートを育てることです。会議の種類ごとに(定例会議・プロジェクト会議・1on1など)型を用意しておくと、毎回ゼロから考える手間がなくなります。
次に、社内で共有されている過去の議事録を読むこと。先輩が書いた議事録を参考にすることで、その会社や職場で求められる粒度や書き方のスタイルが自然と見えてきます。
そして、書いたものに対してフィードバックをもらうことです。「もう少し決定事項を短くまとめてほしい」「経緯の説明が助かった」などの反応を積み重ねていくことで、自分の議事録の精度は確実に上がっていきます。
まとめ:議事録の書き方は「型」を覚えれば新人でもすぐ上達できる
議事録は、ただ会議の内容を書き写す作業ではありません。決定事項・アクション・担当者・期日を明確にし、関係者全員が同じ認識を持てるようにする——そのための文書です。
最初はうまく書けなくて当然ですし、完璧を目指す必要もありません。基本の5項目を押さえ、発言の要点を掴む練習を重ねることで、議事録のスキルは着実に伸びていきます。
「誰が・何を・いつまでに」を明確にすること ——この一点を意識するだけで、読まれる議事録は格段に変わります。ぜひ次の会議から実践してみてください。