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有期雇用派遣と無期雇用派遣、どちらが自分に合っている? 安定就業のために知っておきたい制度の全体像

「派遣で長く働いていると、将来が不安…」。そう感じている方も少なくないのではないでしょうか。一方で、「仕事の種類や勤務地を柔軟に変えられるのが派遣の良いところ」と、積極的に選んでいる方もいます。

派遣の雇用形態には大きく「有期雇用派遣」と「無期雇用派遣」の2種類があり、それぞれに特徴があります。どちらが優れているというわけではなく、自分のライフスタイルやキャリアの方向性によって、合う働き方は異なります。この記事では、有期・無期それぞれの仕組みやメリット・デメリットを、労働者派遣法や労働契約法などに基づいて整理します。

目次

派遣の雇用形態は2種類:有期雇用と無期雇用

派遣スタッフとして働く場合、派遣元(派遣会社)との雇用契約には「有期雇用」と「無期雇用」の2種類があります。これは派遣先との関係ではなく、あくまで派遣元と結ぶ雇用契約の種類です。

有期雇用派遣とは

有期雇用派遣とは、派遣元と一定期間(たとえば3か月・6か月など)の雇用契約を結び、派遣先に就業する形態です。一般的に「登録型派遣」とも呼ばれ、仕事がある期間だけ雇用関係が生じます。仕事と仕事の間は雇用関係がないため、複数の仕事を経験したい方や、ライフスタイルに合わせて働き方を選びたい方に向いています。

ただし、労働者派遣法により、同一の派遣先・同一の組織単位への派遣は原則3年が上限となります(いわゆる「3年ルール」)。

無期雇用派遣とは

無期雇用派遣とは、派遣元と期間の定めのない雇用契約を結んだうえで、派遣先に就業する形態です。一般的に「常用型派遣」とも呼ばれます。派遣先への就業期間に定めがある有期雇用派遣とは異なり、派遣先が変わっても雇用契約は継続されます。仕事と仕事の間(待機期間)も雇用関係が続くことが特徴です。

また、無期雇用派遣労働者には、有期雇用派遣のような3年の期間制限が適用されません(労働者派遣法第40条の2)。

【図解】有期雇用派遣と無期雇用派遣の違い
【図解】有期雇用派遣と無期雇用派遣の違い

それぞれのメリットとデメリット

どちらの雇用形態にも、それぞれ異なるメリットとデメリットがあります。自分の優先事項と照らし合わせながら読んでみてください。

有期雇用派遣のメリット

  • 働く期間や職場を柔軟に選びやすく、短期間でさまざまな職種・業界を経験することができます。
  • 仕事が合わなかったり、家庭の事情などで働けない時期ができたりしても、契約満了のタイミングで区切りをつけやすいです。
  • 特定のスキルや経験を活かして、複数の派遣先でキャリアを積むことができます。

有期雇用派遣のデメリット

  • 同一の派遣先では最長3年という就業期間の制限があります。長く働いた職場でも、一定期間で離れなければならない場合が多いです。
  • 仕事と仕事の間(待機期間)は雇用関係がなく、収入が途切れる可能性があります。
  • 契約更新のたびに将来の見通しが変わるため、長期的な生活設計が立てにくいと感じる方もいます。

無期雇用派遣のメリット

  • 派遣元との雇用契約が継続するため、仕事と仕事の間も給与が支払われる場合が多く、収入の安定につながります(派遣元の規定による)。
  • 同一派遣先で3年を超えて就業できるため、職場に慣れた環境で長期的に働くことができます。
  • 雇用が安定しているため、住宅ローンやクレジットカードの審査などで有期雇用よりも有利になる場合があります。

無期雇用派遣のデメリット

  • 派遣元の指示で就業先が変更になる場合があり、希望しない仕事や勤務地への異動を求められる可能性があります。
  • 有期雇用派遣に比べて、働く時期や職種の自由度が下がることがあります。
  • 派遣元によっては、有期雇用から無期雇用転換後も賃金水準や待遇が変わらない場合もあります。

無期雇用への転換はどうすればできる?

有期雇用派遣スタッフが無期雇用へ転換するルートは、大きく2つあります。

①派遣元(労働者派遣法)による雇用安定措置

有期雇用派遣スタッフが同一の派遣先で3年間就業することが見込まれ、かつ本人が引き続き就業を希望する場合、派遣元には「雇用安定措置」を講じる義務があります。

労働者派遣法 第30条1項(雇用安定措置)の趣旨に基づけば、派遣元が講じるべき措置として以下が定められています。

一 派遣先に対し、特定有期雇用派遣労働者に対して労働契約の申込みをすることを求めること。

二 派遣労働者として就業させることができるように就業(その条件が、特定有期雇用派遣労働者等の能力、経験その他厚生労働省令で定める事項に照らして合理的なものに限る。)の機会を確保するとともに、その機会を特定有期雇用派遣労働者等に提供すること。

三 派遣労働者以外の労働者として期間を定めないで雇用することができるように雇用の機会を確保するとともに、その機会を特定有期雇用派遣労働者等に提供すること。

四 前三号に掲げるもののほか、特定有期雇用派遣労働者等を対象とした教育訓練であって雇用の安定に特に資すると認められるものとして厚生労働省令で定めるものその他の雇用の安定を図るために必要な措置として厚生労働省令で定めるものを講ずること。

労働者派遣法 第30条の第1項

つまり、長期の派遣期間が見込まれる場合、派遣元は本人の意向を聞いたうえで、無期雇用への転換を含む複数の選択肢の中から措置を講じなければなりません。もし派遣元から何も説明がない場合は、積極的に相談してみることをおすすめします。

②労働契約法による無期転換ルール(派遣元との契約が5年を超えた場合)

派遣元との有期雇用契約が通算5年を超えた場合、労働者は派遣元に対して無期労働契約への転換を申し込む権利(無期転換申込権)が生じます。

同一の使用者との間で締結された二以上の有期労働契約の契約期間を通算した期間が五年を超える労働者が、当該使用者に対し、現に締結している有期労働契約の契約期間の満了する日までの間に、当該満了する日の翌日から労務が提供される期間の定めのない労働契約の締結の申込みをしたときは、使用者は当該申込みを承諾したものとみなす。

(労働契約法 第18条 第1項、2012年制定)

この申し込みを行うと、派遣元は拒否することができません。なお、2024年4月施行の労働基準法施行規則改正により、派遣元は無期転換申込権が発生するタイミングで、本人に対して無期転換を申し込めることと転換後の労働条件を書面で明示する義務が生じています(労働基準法施行規則第5条 改正)。

現在の派遣労働者の状況をデータで見る

厚生労働省「令和5年度 労働者派遣事業報告書(速報)」によれば、派遣労働者の実人数は約212万人で、そのうち無期雇用派遣労働者は約84万人(約40%)、有期雇用派遣労働者は約127万人(約60%)となっています。無期雇用派遣は前年比で増加傾向にあり、雇用の安定を求める動きが広がっていることがうかがえます。

また、3年ルールに基づく雇用安定措置の対象となった派遣労働者のうち、「派遣元での無期雇用」となった方は約5%にとどまり、「新たな派遣先の提供」が約53%と最も多くなっています。無期雇用転換は選択肢のひとつではありますが、必ずしも多くの場合に選ばれているわけではないことも知っておくとよいでしょう。

(出典:厚生労働省「労働者派遣事業報告書 令和5年度集計(速報)」

有期雇用と無期雇用、どちらを選ぶか迷ったときの考え方

有期・無期どちらが「正解」ということはありません。大切なのは、自分の働き方の優先事項を整理することです。

たとえば、「収入や雇用の安定を重視したい」「同じ職場で長く働いてスキルを深めたい」という方には、無期雇用派遣が向いていることが多いでしょう。一方、「育児や介護と両立しながら、ゆるやかに働きたい」「いろいろな職場を経験してみたい」という方には、有期雇用派遣のほうが柔軟に対応できる場合があります。

また、有期雇用で働きながら、将来的に無期転換や直接雇用を目指すというキャリアステップも十分に考えられます。派遣元のキャリアコンサルタントや、労働局の相談窓口を活用しながら、自分に合った道を探してみてください。

まとめ:有期雇用、無期雇用それぞれの特徴を理解して選択しよう

有期雇用派遣と無期雇用派遣は、どちらにもメリット・デメリットがあり、一概にどちらが優れているとは言えません。重要なのは、それぞれの制度の仕組みを正しく理解し、自分のライフスタイルやキャリアプランに合った選択をすることです。

また、有期雇用で3年が近づいてきた場合には、派遣元から雇用安定措置の説明があるはずです。無期転換も含めた選択肢について、派遣元に遠慮なく相談してみましょう。あなたには、雇用の安定について申し入れる権利があります。一人で悩まず、派遣元のサポートや公的な相談窓口を積極的に活用してください。

有期雇用派遣と無期雇用派遣の違いは何ですか?

大きな違いは、派遣会社との雇用契約に期間の定めがあるかどうかです。有期雇用派遣は3か月・6か月などの期間を定めて契約しますが、無期雇用派遣は期間を定めずに契約します。どちらの場合も、雇用主は派遣先ではなく派遣会社です。

無期雇用派遣になると、派遣先の正社員になれるのですか?

いいえ。無期雇用派遣は、派遣会社と期間の定めのない雇用契約を結ぶ働き方です。派遣先企業の正社員になるわけではありません。派遣先との直接雇用を希望する場合は、別途、派遣先から採用される必要があります。

無期雇用派遣なら、同じ派遣先で3年を超えて働けますか?

はい。派遣会社と無期雇用契約を結んでいる派遣スタッフには、有期雇用派遣に適用される原則3年の期間制限がありません。そのため、同じ派遣先の同じ組織単位で3年を超えて働くことも可能です。

有期雇用派遣で5年働けば、自動的に無期雇用へ切り替わりますか?

自動的に切り替わるわけではありません。

同じ派遣会社との有期雇用契約が通算5年を超えた場合、派遣スタッフに「無期転換申込権」が発生します。本人が派遣会社へ申し込むことで、現在の有期契約が終了した翌日から無期雇用契約へ転換されます。

有期雇用派遣と無期雇用派遣のどちらを選べばよいですか?

収入や雇用の安定、同じ職場で長く働くことを重視する方には、無期雇用派遣が向いている場合があります。一方、働く期間や職種、勤務地などを柔軟に選びたい方には、有期雇用派遣が適していることがあります。それぞれのメリット・デメリットを確認し、自分の生活やキャリアに合った働き方を選びましょう。

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